日本酒でよく耳にする「精米歩合」。
なんとなく意味はわかっても、初心者にとってはイメージしにくい日本酒用語ですよね。
今回は精米歩合の意味から、精米歩合の違いによって日本酒の味にどんな違いがあるのかをご紹介します!
目次
精米歩合とは?
精米歩合(せいまいぶあい)とは、日本酒に使われる米の精米の程度を表す割合のことです。
正式には「白米の玄米に対する重量の割合」と定められています。
簡単に言えば「もともとのお米(玄米)を100%として、そこからどれくらい米を削っているか?」を表す数値となります。
たとえば「精米歩合90%の米」といった場合、その意味するところは「玄米の状態から周囲を10%削っている米」ということになります。
玄米には「糠(ぬか)」と呼ばれる殻のようなものが付いており、これを取り除いて白米にするために米を削り込む作業(精米)が必要となるんです。
日本酒における精米歩合の意味
普段食べるお米で意識することはあまりない精米歩合ですが、日本酒の世界においてはたびたび注目されます。
たとえば、「獺祭 磨き二割三分」などは業界においても前例を見ないほどの極めて低い精米歩合「23%」を実現したということで、大きな話題となりました。
精米歩合の高低が日本酒とどんなかかわりがあるのかについて、詳しく解説していきます。
精米歩合による価格の違い
精米歩合の高低は、必ずしも日本酒における美味しさの差を意味するわけではありません。
しかし、精米歩合の数値が低いということは、その分原料となる米の表面を磨き込んでいるということですから、使える部分が少なくなってしまうため、原料費が高くなる傾向があります。
たとえば精米歩合90%の日本酒と、精米歩合45%の日本酒であれば、後者のお酒のほうが原料費に2倍もの差がつくことになりますよね!
さらに、精米歩合の数値を低くすればするほど米がもろくなり、高度な技術と手間暇がかかるため、その点もコストに大きく影響してきます。
そのため、精米歩合の数値が低い日本酒は、そうでない日本酒に比べて比較的高値で売り出されることが多いんですね!
ちなみに、よく聞く「吟醸酒」「大吟醸酒」といった名称は、この精米歩合が一定の基準を超えた日本酒だけが名乗ることができるものであるため、一般に普通酒と比べて高級品として扱われます。
精米歩合による味の違い
精米歩合の数値が低く高価だからといって、必ずしも日本酒の品質の良し悪しとは直結しません。
ただし、精米歩合と日本酒の味わいには、大きなかかわりがあります。
精米歩合の数値が低いということは、米の表面を削り、米の内部だけを使用しているということになります!
米は外部と内部で成分の含有比率が異なり、外部ではタンパク質や脂質の含有率が高くなり、内部にいけばいくほどデンプンの含有率が高くなります。
タンパク質・脂質は、多すぎると雑味になってしまいますが、米らしいクセや旨みを生む要素と考えられています。
一方でデンプンは、米の甘みの素となる成分であり、一般にデンプンの含有率が高いほど美味しい米といわれます。
つまり、米を磨けば磨くほど、米の甘みが強調され、クセが取れた味わいになります。
このため、精米歩合の数値が低い日本酒は、フルーティな甘みが感じられ、すっきりとした飲み口のものに仕上がりやすいんです。
一方で精米歩合の数値が高い日本酒は、米らしい旨みと風味が強く感じられ、コクが強調された仕上がりになることが多いです。
このように、精米歩合を知っていれば、ある程度日本酒の味わいを区別することができます!
ポイント
- 精米歩合が低い フルーティーで甘い
- 精米歩合が高い 米の旨味とコクが強い
精米歩合の測り方
精米歩合の測り方には様々な方法があります。
主に酒造米については「重量精米歩合」が主に使われており、その中でも「見掛精米歩合」「真精米歩合」の2種類の方法が使われています。
「重量精米歩合」と「見掛精米歩合」
重量精米歩合
重量によって歩合を測る方法で、「白米重量÷玄米重量×100」で歩合を割り出します。
通常の重量精米歩合は「見掛精米歩合」と呼ばれ、米一粒一粒の磨き具合にバラつきがあっても平均化した見掛けの歩合として値が算出されます。
「真精米歩合」
一方、「真精米歩合」は玄米と白米それぞれ千粒を抜き出した「千粒量」で測る重量精米歩合のことです。
「見掛精米歩合」に比べてより精度の高い歩合を算出することができるため、高品質な日本酒の証明として重要な算出方法となっています。
精米歩合の高い日本酒・低い日本酒
精米歩合の数値が低ければ低いほど手間暇がかかるため価値が高く高級酒とされていた日本酒ですが、最近はあえて食用米と同じくらいの精米歩合でつくる「低精白酒」も登場し、徐々に人気を集めています。
一方で、精米歩合の低さを極限まで突き詰めた銘柄なども生まれており、日本酒業界において「精米歩合の高低」は重要なトピックスとなっています。
米独特の味わいが魅力の「低精白酒」
日本酒は一般的に精米歩合が70%以下のものを「純米酒」、75%以上になると「普通酒」と呼ばれます。
低精白酒は普通酒よりもさらに高い、精米歩合80%から90%の高い歩合の米でつくられた日本酒のことを言います。
米の外側のタンパク質による米独特の味わいや、元来は雑味と捉えられてきた辛味や苦味が残る大胆な味わいが特徴で、フルボディのワインのような飲み口で、和食よりもステーキなどに合わせるのがおすすめです。
低精白酒で人気のお酒はこちらの記事をどうぞ!
-
-
栃木の酒「仙禽(せんきん)」が日本酒界初の「甘酸っぱさ」で本当に美味くてオススメ!日本酒嫌いもワインの様な甘味と酸味でどんな料理でも合うからご紹介!Japanese SAKE「SENKIN] No.1 REKOMENNDO
続きを見る
究極のこだわり!精米歩合1%の最高級日本酒「光明」
90%以上の高い精米歩合の低精白酒が注目を集める一方で、究極まで磨き上げた精米歩合1%の高精白米を使用した「光明」は、上新粉の香り豊かな最高級の日本酒として約10万円という高値で発売されています。
精米歩合1%の米は小さく丸くなり、もはや原型を留めていない見事な削りっぷりとなります。
極限まで磨き上げることで生まれる、品格のある甘さと花のような香りが特徴で、なんと1%まで磨き上げるのに約75日もかかっているという究極の高精白酒です。
精米歩合は日本酒を楽しむための第一歩!
精米歩合は日本酒の性質や味わいを見極めるのにとても重要な役割を担う、基本中の基本でごさいます。
様々な精米歩合の日本酒に出会うことで、自分なりの味の基準や好みの歩合を知って、より日本酒の知識の幅が広げてみてはいかがでしょうか?
日本酒を少しでも嗜む方は、ぜひ今度から自分が飲む日本酒の精米歩合にも着目してみてください!
日本酒がより一層楽しくなりますよ!